LegalとExtended - LiveGradeにおけるSDI信号とLUTについて

HD-SDI信号について

HD‒SDI (YCbCr・デジタルコンポーネント)信号を扱う機器は、基準値(Legal)レンジの信号と拡張レンジ(Extended)信号のいずれかを取り扱うように設定されます。 通常はほとんど基準値(リーガルレンジ)を使用しますが特殊な場合や、より緻密な再現性が必要な場合のみ、まれに拡張レンジが使用されます。

10ビットのデジタル信号は、各チャンネルごとに0〜1023までの階調を持ちます。基準値の信号では64〜940の範囲内の値だけ(輝度・Yチャンネルの場合)を使用し、拡張レンジの場合は4〜1019の値(輝度成分)を使用します。 このため両者が使用するデータの間には大きな隔たりがあります。

3Dルックアップテーブル(LUT)について

3DルックアップテーブルはRGB画像に適用可能です。ポストプロダクションシステムにおいてRGB画像は、ほとんどの場合すべての値を利用(例えば10ビットのRGB画像には、0〜1023の値すべてを使用)しています。 つまりポストプロダクションシステムに向けて作成されたルックアップテーブルは0∼1023のコード値をLUTを使用してビデオのリーガルレンジに合うように階調をいわば圧縮させてトランスフォームさせることが前提となります。

LiveGradeによる処理工程

このリーガルレンジなど、規定の階調の範囲内でのカラー調整操作を換算をするために、まずLiveGradeは入力信号を0から1023の値を取るように変換します。LiveGradeでのリーガルレンジの処理は、ポストプロダクションのカラー処理工程と同じ処理を内部で行っていることになります。
つまり、LiveGradeのCDLモードは、常に「拡張レンジ」のルックアップテーブル(3D LUT)の使用を前提としているということです。

注意 : CDLとLUTの処理順序は変更できますので注意してください。CDLグレーディングモードについてはサポート記事を参照ください。

一方で、HDLinkは入力されるSDI信号の種類を「基準レンジ」なのか「拡張レンジ」なのかを認識することができません。 LiveGradeがカラープロセスの一環として、「デバイスマネージャー」での設定に従って入力信号の変換処理を行うことになります。デバイスマネージャーで正しい設定をしている限り、適用したルック(CDLやインポートされたLUT)が正確に適用されます。

NOTE : 「ManageDevices...」の設定についてはKB238とKB216を参照ください。

 

図1 LiveGradeの色処理工程

入力されるSDI信号が「拡張レンジ」の場合、LiveGradeは常にRGBフルレンジで色処理を行い、HDLinkは基準値のSDI信号(図2)として出力するように変換します。

図2 拡張レンジ信号を入力し基準値で出力の場合の処理

 

使用上の注意 : 「基準値の3D LUT」で使用する場合は「基準値」信号を入力しHDLink付属のユーティリティーソフトを使用してルックアップテーブル情報をHDLinkに直接ロードする必要があります。 そうすることでルックアップテーブルは入力信号に適用されます。 LiveGradeの「フルレンジ」3D LUTは多くのポストプロダクションツールと同様に使用することが可能です。