FlavourSys STRAWBERRY 導入事例 - アーセナルFC

イングランドプレミアリーグの有名なサッカーチーム、アーセナルFCがプロダクションアセット管理ツール(PAM)の「FlavourSys Strawberry」を導入。映像コンテンツの制作効率を大幅に改善。

● 導入背景

英国の著名なフットボールクラブのアーセナルFCは、映像コンテンツもクラブ内の映像制作チームで内製しています。ホーム、アウェイを問わずすべての試合の模様はもちろん、チームの裏側を毎週30分のドキュメンタリーにまとめた番組や、前回の試合を練習風景を交えて30分にまとめたダイジェスト映像、さらには選手のインタビュー映像や、ライブ配信される記者会見など、膨大な映像コンテンツを取り扱っています。また、短尺で頻繁な更新が好まれるソーシャルメディア向けのコンテンツなど、配信手段に応じた多様な形式での制作も求められます。

1週間に複数回行われる試合や、日々公開するコンテンツの制作には、効率的なワークフローが鍵となります。日々俊敏にタイムリーな映像コンテンツを送り出すため、同クラブはFlavourSys STRAWBERRYをプロダクションアセット管理ツール(PAM)として導入しました。STRAWBERRYのおかげで、日々やってくる大量の収録映像素材を的確に捌けるようになり、制作効率を大幅に改善することができました。

● 課題

STRAWBERRYの導入前は、ごく一般的なメディアアセット管理システム(MAM)を利用していました。特にロギングとアーカイブの部分での運用管理が煩雑でメンテナンスの負担が大きく、編集担当者に余計な時間がかかる作業を強いるものでした。各シーズンの終わりに編集担当者がアーカイブのデータ管理に時間を費やすことを余儀なくされましたが、それでもストレージの容量の問題の解決には至りませんでした。

「進行中の制作を抱えている途中でMAMからPAMへのシステム切り替えは、正直不安なものです。それでも制作用でメインに使用している共有ストレージは、ごく一般的なフォルダベースの管理体系でした。編集チームがすばやく目的の映像を探し出して編集作業の効率を高めたいと考えていました。」John Dollin氏 Arsenal Media Group 上級システム&運行管理部長

導入前は目的の映像クリップの所在を特定するのが難しく、さらにはどのクリップがどのプロジェクトで使いまわされているかの手がかりもありませんでした。編集担当はやむなく各自の編集端末のローカルストレージにコピーするほかなく、余計な容量の消費やコピー時間だけでなく、結果として最終的に消しても良いファイルがわからなくなるという混乱を招いていました。STRAWBERRYを使えば、プロジェクトごとにプロジェクトに関連したメディアファイルを含む仮想ドライブをマウントするので異なるプロジェクト間でも映像データを混乱することなく共用することができます。無駄なコピーによりストレージ容量を圧迫することもありません

STRAWBERRYを使えば、プロダクションストレージは自動的に整理されますから、アーカイブやリストア、ファイルの消去も格段に簡単になり、無駄なストレージ容量の冗費を避けられます。高速なティア1ストレージは400テラバイト、データ置き場としてのティア2ストレージとLTO7アーカイブには100テラバイトを割り当てています。通常毎月5テラバイト程度を消費します。

以前使っていたMAMでは、編集担当者が個別に映像コンテンツ素材へのタグ入力を強制していましたが、彼らにそんな余裕はありません。そこでタグ入力専門に学生のアルバイトを雇って対応していました。STRAWBERRYを導入することで、ロギングされたインタビュー映像素材は自動的に検索ができるようになり、プロジェクトベースのメタデータにより、プロジェクト内で的確に発見できるようになりました。

STRAWBERRYはシンプルなLinuxサーバー上で動作し、共有ストレージにrootデバイスとしてマウントしてアクセス権を制御します。共有ストレージ上のコンテンツをプロジェクトごとに自動的に整理されます。映像や音声、静止画もプロキシが生成され、サムネイル上にマウスカーソルを合わせると映像のプレビューができます。

プロキシデータはプレビューのためだけに生成されるので、多種多様な制作ツールや撮影カメラ、コーデックやコンテナ形式が混在するマルチベンダ構成環境下で発生しがちな問題を解消します。

STRAWBERRY導入の真価は、Adobe Premiere ProとそのXMPメタデータファイルフォーマットとの統合連携機能にあります。記者が入力した記事もPremireProにインポートされ、検索対象として使えるようになります。

さらに Opta stats(Perform Gruopが展開するスポーツコーディングサービス)から送信されてくる試合中のログデータも自動的にインデックスされSTRAWBERRYデータベースで検索できます。過去に我々が独自に学生アルバイトを雇ってタグ入力をしていたのと比較しても大幅にヒューマンエラーを低減することができ、高効率・高速化を実現し、コストを節約することにもつながりました。

編集が終わったコンテンツは、ディレクターが編集室はもちろん出張先からでもウェブブラウザひとつでプレビューができ、チェック・承認が可能です。単に時間を短縮できるばかりでなく、特にチームが遠征中の時には絶大な効果を発揮してくれます。

● アーカイブとリトリーブをシンプルに

Arsenal Mediaにコンテンツ制作の効率を高めるフレームワークを提供することができました。ストレージの冗費を防ぎ、タグ入力を自動化したり効率を高め、スタッフが制作に専念できる環境をつくりあげました。また、STRAWBERRYがAdobe社のツールとシームレスに連携し、より高度な検索・閲覧環境を提供しました。

「STRAWBERRYに移行したことで、我々のワークフローの価値を大いに高めることができました。進行中の制作を抱えたままでシステムを切り替えるのはリスクがありましたが、それに価する収穫です。
編集チームは、ストレージ容量を気にしながらアーカイブ作業に忙殺されていた以前の状態よりも制作に専念できるようになったことに非常に満足しています」(John Dollin氏)